「やさしいビタミンのお話」(5)

第5話 食品のビタミンの含有量


 第1話で、ビタミンは、本来、食物から取るものであると述べましたが、それでは、どのような食材(食品材料)に、どのようなビタミンが、どれくらい含まれているのかを知りたくなりますね。これについては、科学技術庁(現在は、文部科学省)が出版している『日本標準食品成分表』に記載されています。しかし、植物性の食材では、品種、産地、栽培方法(路地栽培か、ハウス栽培かなど)、収穫時期、保存方法、部位などのいろいろな条件によって、同じ食材でもビタミン含有量には、かなり差異があります。動物性食材でも同様です。従って、記載されている数値は、平均的な値であり、目安程度と考えてください。さらに、調理の仕方によって、分解したり流出したりする度合いが違います。調理前後の保存の状態などによってもビタミンの減少する度合いは違ってきます。

 表2には、各ビタミンが、どのような食材に多く含まれているかについて示してあります。表3(改訂中)には、逆に、代表的な食材のビタミン含有量を示しました。
 ビタミンの含有量は、普通、食材100グラム当たりで示されています。数値が大きいほど含有量が高いのですが、1食に100グラムも200グラムも食べる食材もあれば、10グラムくらいしか食べられない食材もありますから、含有量の数値が大きい食材ほど、優れたビタミン供給源とは考えないでください。
 学校給食のような場合は、専門の栄養士さんがおられて、その日に使う食材には、どれくらいのビタミンが含まれているか、所要量を満たしているかなどを計算されます。ビタミン以外の栄養素やカロリーなども計算されます。しかし、家庭で毎日計算するようなことは不可能と言ってよいでしょう。
 既に述べましたように、いろいろの食べ物を満遍なく、できるだけ偏食しないように、食べるようにすれば、ビタミンも他の栄養素も食物繊維などもバランス良く、とり入れることができます。従って、どの食材には、どのようなビタミンが多く含まれているかについては、ある程度の関心を持って頂くことは大切ですが、あまり神経質になる必要はありません。そうは言っても、人は食べ物には大なり小なり好き嫌いがありますので、ビタミンが不足する心配がある時、あるいは現実に不足した時には、ビタミン・サプリメントやビタミン剤によって補給するのが良いでしょう。そのとり方については、第10話で述べます。


 これで、第5話を終わります。





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