「やさしいビタミンのお話」(10)

第10話 ビタミンの上手なとり方


 第9話まで読まれた方は、ビタミンの上手なとり方は、十分におわかりだと思いますが、復習として、まとめて述べておきましょう。
 ビタミンをとる目的は、3つに大別できます。それによって、とり方が違います。
 第1は、ビタミン不足ひいては欠乏症にならないために です。
現在の日本では、毎日毎食の食事を偏食しないで食べていれば、ビタミン不足になることは滅多にありません。できる限り多くの種類の食品材料を取り混ぜて食事に供してください。そうすれば、ビタミンだけでなく、三大栄養素といわれる糖質、タンパク質、脂質も、ミネラルも食物繊維などもバランスよくとり入れることができます。これが最善の方法です。しかし、偏食しているかどうかは判断しにくいので、ビタミンやミネラルなどが不足していないかどうかが心配な方は、不足になることを予防するために、ビタミン剤やビタミン・サプリメントで補給すればよいのです。この場合、沢山とることは不必要で、むしろ、害が出るかも知れません。1日の所要量以下で結構です。所要量の半分くらいで十分です。
 第2は、生活習慣病にならないために です。
生活習慣病は、かつては成人病などと呼ばれました。一口に生活習慣病と言っても、沢山あります。糖尿病、高血圧、低血圧、冷え性、動脈硬化、脳出血、骨粗鬆症、狭心症、潰瘍、痴呆症、アルツハイマ−病、悪性貧血、悪性腫瘍、がんなどがそうなのです。これらのすべてがビタミンだけで治るわけではありませんが、上手にビタミンをとれば、予防や治療に役立つことが知られています。また、飲酒、喫煙などが習慣になっている人、運動不足の人、激しいスポーツをしている人などは、それぞれ、どのようなビタミンをとれば良いかが異なりますので、ビタミンのとり方を工夫することが望まれます。やせ過ぎや肥満は、先天的な場合もありますが、生活習慣の変更で、かなり改善できますが、これにもビタミンのとり方に注意が必要です。大まかに言えば、この第2の目的には、所要量よりも少し多い目にとることが望まれますが、許容上限摂取量には注意してください。
 第3は、特別な病気を予防し治療するために です。
近年の研究によって、特定のビタミンが利く病気があることが分ってきました。これは、本来のビタミンの作用(生理作用、第6話)とは異なる薬理作用(
第7話(改訂中))を期待するものです。この場合には、所要量よりもはるかに大量のビタミンを必要とすることが多いのですが、ある病気を治そうと思って、あるビタミンを大量にとったため、過剰症になったり、ビタミン間のバランスが崩れたりして、思わぬ症状が出ることもあります。従って、お医者さんの指導のもとで、決められた量のビタミンをとらねばなりません。

 表6(改訂中)には、どのような場合に、どのビタミンを補給するのがよいかについて、書いておきましたので、参考にしてください。

 これで、「やさしいビタミンのお話」は、第10話まで全部終わります。

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■もっと知りたい方へ■
13種類のビタミンについて、(1)発見・化学名(どのようにして発見されたか、どのような化合物であるか)、(2)欠乏症(と過剰症)、(3)生化学と生理作用、(4)所要量と多く含む食品 という4項目に分けて、簡潔に解説したものが、日本ビタミン学会・社団法人ビタミン協会のホームページに載っています。
URL: http://web.kyoto-inet.or.jp/people/vsojkn/ です。
もっともっと知りたい方は、参考書をクリックしてください。

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