「ビタミンの日」委員会

ビタミンに関する Q & A


「やさしいビタミンのお話」を掲載したところ、たくさんの方から質問を頂きました。その中から重要な質問を選んで、ビタミンに関する Q&A という形で、逐次掲載してゆきます。
Q 1:
プロビタミンCという名を聞きましたので、いくつかの本を調べてみましたが、出ていません。どのような化合物なのでしょうか?

A 1:
天然に存在している化合物が、食べ物として体内に取り入れられてから、化学的に変化してビタミンになる場合、その化合物をプロビタミンといいます。例えば、β-カロチンは、ニンジンやトマトなどに含まれており、体内に入ると分解されて、ビタミンAになるので、プロビタミンAです。

さて、1978年にサイブらが、ビタミンC(化学名をアスコルビン酸といいます。便宜上、AAと略記します)にリン酸を結合させたアスコルビン酸-2-リン酸エステル(便宜上、AA-2Pと略記します)を合成しました。AAに比べて安定であり、生体内では酵素によりリン酸が脱離してAAになるので、安定型ビタミンCとして喧伝されました。AA-2Pは、人工的に合成された化合物で、天然物ではないのにプロビタミンCと呼ばれたことがありました。

次いで、1990年に、AAにマルターゼという酵素を作用させると、AAにグルコ−ズが結合したアスコルビン酸−2-グルコシッド(便宜上、AA-2Gと略記します)になることが発見されました。さらに、AAとでんぷんにシクロデキストリン合成酵素を作用させると多量にAA-2Gを生産できることが分かりました。AA-2Gは、AAやAA-2Pより安定で、実用性が期待されました。体内でAAになる点ではプロビタミンCといえるかも知れませんが、通常の食品材料にはほとんど含まれていないので、厳密にはプロビタミンCとはいえません。
さらに、1998年に、AA-2Gにいろいろの脂肪酸を結合させて、脂溶性の誘導体である6-アシル-アスコルビン酸-2-グルコシッド(便宜上、6-Acyl-AA-2Gと略記)が作られました。この6-Acyl-AA-2Gは、安定であり、脂溶性のため皮膚から吸収され易く、生体内でAAに変換されるのでプロビタミンCといえそうですが、もともとは天然には存在しない人工的な誘導体ですから、やはりプロビタミンCとはいえません。
AA-2Gや6-Acyl-AA-2GのようなAAの誘導体は、主として、岡山大学の山本 格教授が研究されてきたもので、この業績に対し、日本ビタミン学会では、第55回大会で学会賞が授与されました。同教授は受賞講演において、プロビタミンCではないが、天然のAAよりも安定であり、体内でAAに変換できる実用性の高い誘導体であるからプロビタミンC剤という名称を提唱されました。山本教授に面談した時、プロビタミンCという名称は誤りで、剤をつけなければいけないと申されました。

Q 2:
ビタミン欠乏症は、ビタミンを与えれば、必ず治るのですか?
A 2:
ビタミン欠乏症が現れないように、体外から摂取する必要のある量を所要量と呼んでいます。それ以下しか摂取しないと直ちに欠乏症が現れるとは限りませんが、欠乏症が現れた時には、一般的にはビタミンを投与すれば治癒するはずです。しかし、欠乏症は、@ビタミン摂取不足の場合のほか、Aビタミンを体内で補酵素型などの活性型に変換させることができない時にも起こります。Bさらに、ビタミンが活性型に変換される臓器に運搬されない時にも起こります。C補酵素型が結合することによって酵素作用を発揮する酵素自体が存在しなかったり、変性しているような場合にも起こります。A以下のような場合には、いくらビタミンを与えても治癒しません。


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