「やさしいビタミンのお話」(9)

第9話 ビタミン・サプリメントとは


 ビタミン・サプリメントと言うのは、第1話でも述べましたように、栄養機能食品、栄養補助食品の1種です。従来から薬局などで売られてきたビタミン剤と同様に、普通は、錠剤の形に成型されております。顆粒状のもの、カプセルに入れたもの、液体ドリンク剤もあります。ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニなどでも買うことができます。
錠剤の場合、1錠中にビタミンを1種づつ含有するものもあれば、多種類のビタミンを含有するものも売られています。メーカーによって商品のビタミン含有量が異なっていますから、ラベルのビタミン含有量を見て、目的に適する商品を選んでください。

 まず、毎日の食事からとれるビタミン量では不足になっているのではないかという心配を解消したい方について述べます。
 総合ビタミンとかマルチビタミンと言った名の付いている商品は、ほとんどすべてのビタミンの1日の所要量を1錠中に含有させていることが多いので、毎日1錠づつ取れば十分過ぎると思います。いろいろの食品を偏食しないように食べていれば、その中に含まれているビタミンで1日の所要量に達していることが多いので、それ以上の補給は不必要なはずですが、不足した時の補足と言う目的でとるのであれは、半錠あるいは、それ以下でも十分な人が大部分だと思います。しかし、半分に切るわけにはいかないので1錠と申したのです。2錠あるいは3錠で1日の所要量が入っている場合には、1錠中には1日の所要量の半分あるいは3分の1しか含まれていませんが、上に書いたように不足した時の補足と言う目的では1錠でよいでしょう。
 もちろん、1種類のビタミンだけを含有するビタミン・サプリメントを用いることもあります。例えば、新鮮野菜や果物が嫌いな方は、ビタミンCの補給が必要です。

 次に、生活習慣病を予防あるいは治療したい場合について述べます。
特定の生活習慣病が気になる場合は、それに応じたビタミン・サプリメントをとれば良いわけです。例えば、しばしば歯ぐきから血が出るのは、歯齦炎(しぎんえん)の疑いがあり、ビタミンCをとれば良いのです。また、骨粗しょう症の心配な人はビタミンDとビタミンKの2種類(さらに、カルシウムも必要)、動脈硬化の心配な人や喫煙者はビタミンC、ビタミンEおよびβ-カロテンの3種類というように、単独で良い時もあれば、2種類以上を併用するのが良い時もあります。しかし、とる量については、注意しなければなりません。沢山とればとる程、より早く治るとか、予防に利く度合いが高くなるという考えは捨ててください。
 ビタミン・サプリメントという名称はついていないが、健康増進、疲労回復、ストレス解消などと銘打ったドリンク剤のなかには、かなり多量のビタミンを含有するものがあります。ビタミンB1やB2は、所要量の10倍入っていても余分のものは尿中に排泄されますが、ニコチン酸アミドが許容上限摂取量を上回っているものさえありますから、表示のビタミン含有量を見て飲用してください。
 また、俗に言う健康食品がたくさん売り出されていますが、そのなかには、やはり多量のビタミンを含有させているものがありますので、それらを何種類も併用すると、許容上限摂取量をはるかに上回ってしまうこともあります。「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということが当てはまります。
最後に第8話で述べたような薬理作用すなわち特別な病気を治療する目的では、所要量よりはるかに大量のビタミンをとらなければ利かないことが多いのですが、素人判断するのは危険ですから、お医者さんの指示に従ってください。

 表4は、市販のマルチビタミンなどのビタミン含有量をまとめたものです。商品によって少しづつ違いますね。1日の所要量も書いておきましたので、比べてみて購入する時の参考にしてください。


 これで、第9話を終わります。





第10話「ビタミンの上手なとり方」へ >>

<<「やさしいビタミンのお話」のTOP

<< INDEX




© 「ビタミンの日」委員会,2004