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概要

  私たちはN−結合糖鎖の構造分析法として、ピリジルアミノ(PA)化した中性糖鎖及びシアリル糖鎖を3次元のマッピング手法を用いて分析する方法を開発しました。この分析法は3種類のHPLCカラムでの PA化糖鎖の溶出位置から糖鎖構造を解析できる大変優れたN−結合糖鎖の分析法でピコモル(pmol)レベルのPA化糖鎖での分析ができます。

  ここに“2次元あるいは3次元の糖鎖マッピング法”を使うに当たって必要な、各種のPA化糖鎖のこれらHPLCカラムでの溶出位置データを含む最新のデータベースを公開します。このデータベースにはそれぞれのN−結合糖鎖の構造、コード名、 Shimpack CLC-ODS及びAmide-80カラムでの溶出位置、糖鎖の起源、参考文献が含まれます。尚、含まれるデータはすべて私たちの研究グループによって得られたものです。

データベース内容例

このデータベースに収載しているデータの一例を示します。

溶出位置:

このデータベースに記載したPA糖鎖の溶出位置の値は、PA化した標準イソマルトオリゴ糖(重合度3〜25)の溶出位置を基準として求めたグルコース単位で表わしています。(参考文献、 Tomiya, N. et al.,(1988) Anal. Biochem., 171, 73-90.

コード番号:

個々のPA−糖鎖に対して付けたコード番号の意味は下の図を参照して下さい。ハイフン(−)より右の数字は中性糖部分についての番号です。尚、コード番号の最後に星印 (*)が付いているのはNMR分析を行ったものです。

 

 

溶出座標データベース (ECD)

(1)中性の複合型PA−糖鎖

     1)コア及び1本鎖のN−結合糖鎖

     2)2本鎖のN−結合糖鎖

     3)3本鎖のN−結合糖鎖

     4)4本鎖及び5本鎖のN−結合糖鎖

     5)GalNAcを含むN−結合糖鎖



(2)シアリルの複合型PA−糖鎖でNeu5Acを持つもの

    (A)モノシアリルのN−結合糖鎖

        1)1本鎖のN−結合糖鎖

        2)2本鎖のN−結合糖鎖

        3)3本鎖のN−結合糖鎖

        4)4本鎖のN−結合糖鎖

    (B)ジシアリルのN−結合糖鎖

        1)2本鎖のN−結合糖鎖

        2)3本鎖のN−結合糖鎖

        3)4本鎖のN−結合糖鎖

    (C)トリシアリルのN−結合糖鎖

        1)3本鎖のN−結合糖鎖

        2)4本鎖のN−結合糖鎖

    (D)テトラシアリルのN−結合糖鎖

        1)3本鎖のN−結合糖鎖

        2)4本鎖のN−結合糖鎖



(3)シアリルの複合型PA−糖鎖でNeu5Gcを持つもの



(4)ハイマンノース型PA−糖鎖



(5)ハイブリッド型PA−糖鎖



(6)植物及び昆虫由来のPA−糖鎖

 

データベースファイルの提供

下記のファイルにデータを収めたものを提供します。ご希望の方は下記のいずれかのファイルをダウンロードしてご利用下さい。

  • WordPerfect(6/7/8)ファイル (373KB)
  • 同ZIP圧縮ファイル (42KB)
  • Microsoft Word (6/7)ファイル (394KB)
  • 同ZIP圧縮ファイル (70KB)
  • 同LHA圧縮ファイル (67KB)
  •  

    3次元糖鎖マップの作り方

    1. ピリジルアミノ(PA)化した糖鎖混合液を、まずDEAEカラム(第1のカラム)を用いてシアル酸含量に従って中性糖、モノ−、ジ−、トリ−シアリルオリゴ糖などに分画し、各分画をそれぞれ乾固する。
    2. ODSカラム(逆相型、第2のカラム)とアミドカラム(アミド吸着型、第3のカラム)を、PA化イソマルトオリゴ糖混合物(標準グルコースオリゴマー)で前もって校正しておく。4、5、6等の数字はグルコースの重合度を示す。
    3. 第1のカラムで分画されたサンプルPA−オリゴ糖の1つの分画(例えば中性糖分画)を校正したODSカラム(第2のカラム)によって分離し、各ピークの溶出時間をグルコースユニットに換算して2次元(2−D)マップのX軸の値とする。
    4. ODSカラムで分離した各ピークのPA−オリゴ糖をそれぞれアミドカラム(第3のカラム)で分離し、各ピークの溶出時間をグルコースユニットに換算して2−DマップのY軸の値とする。
    5. 上記3および4で得られたサンプルオリゴ糖のグルコースユニットを一組の座標として2−Dマップ上にプロットする。
    6. 上記3および4の操作を、1で分離した全ての画分の糖鎖について行いそれぞれのグルコースユニットを記録する。

    “グルコースユニット”の使い方

     (データベースの活用法)

    この糖鎖分析法は、未知のPA化糖鎖のマップ上の位置を既知の標準PA化糖鎖の位置と比べることで構造を推定するものです。その方法の要点は、

    1. まず得られたサンプルPA−オリゴ糖の座標値から±5%の範囲にある標準オリゴ糖をコンピューターにより検索して、2〜3の候補の化合物を選び出す。
    2. サンプルPA−オリゴ糖と、選ばれた候補の標準オリゴ糖の一つとを、ODS及びアミドのHPLCカラムによって共打ち試験を行う。両者が完全に一つのシンメトリー名ピークにならない時はサンプルと標準品は同じ構造ではない。
    3. サンプルと標準品が共打ちで完全に一致しなかった時はもちろん、一致したときでも念のためにさらにエキソグリコシダーゼ消化によってサンプルの糖鎖を変化させ、その都度適当な標準品と共打ちを行い比較する。最終的に糖鎖がトリマンノシルコアになるまでこの操作を行う。

    詳細は文献を参照して下さい。参考文献、(Takahashi, N. and Tomiya, N. (1992) Handbook of Endoglycosidases and Glycoamidases, p. 199-332.; Tomiya, N. et al., (1991) Anal. Biochem., 193, 90-100.; Nakagawa, H. et al., (1996) Eur. J. Biochem., 237, 76-85.).

     

    参考文献リスト

     

    連絡先:
    Noboru Tomiya
    e-mail: noboru-t@po.iijnet.or.jp
    Nagoya NT Group, Japan

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